センター試験の得点調整の不思議

今年も雨やら雪やらのなか、受験生のみなさんご苦労さんですね。

大学入試センターのサイトを見ると、平均点等の中間発表が19日(水)、得点調整実施の有無は21日(金)に発表する予定だとか。

この「得点調整」ってのが現役学生の当時から納得できないんですよ。すごく悪平等な面があるのではないかと。

サイトの「よくある質問」にはこう書いてあります。

大学入試センターとしては、問題作成の段階で著しい平均点差が生じないようできる限りの努力をしていますが、それでも大学入試センター試験の本試験において次の各科目間で、原則として、20点以上の平均点差が生じ、これが試験問題の難易差に基づくものと認められる場合には、得点調整を行います。

うむ。ここまではわかる。合計点数で同じ点数の受験生は同じ程度の優秀さでなければいけないわけですから、「選択科目に何を選んだか」というだけで有利不利が出てはいけない。その通りですよね。

問題なのはその得点調整の方法。

大学入試センター研究開発部の林氏のプレゼンシート「大学入試センターにおける得点調整の方法(暫定版) 」(pdfファイル注意)にそのメカニズムが説明してあります。

  • 20点以上の差を15点程度に縮小
  • 選択科目で発生していることから差をゼロにはしない
  • 0点は0点に、100点は100点に

最初のふたつは「平均点を完全に一致させることはしない」ということで、それを始めるとすべての対象科目(地理歴史・公民・理科)で平均点を一致させなければならなくなるから作業が大変、というセンター側の効率の問題でしょう。「選択科目で発生していることから」というのは言葉通り取ると意味がわからない(理由になっていない)んですが、「選択だから科目間の平均点に差が出るのはある程度覚悟してるでしょ、もともと調整する義理はないんだから、15点くらいだったらガマンしてよ」ってことです。1点を争う立場からすると、完璧に一致させて欲しいと思うはずなんですがね。

次の「0点は0点に」はわかる。白紙で提出した人間が無条件に点数をもらえていいはずがないので、0点は0点でしょう。

でも「100点は100点に」ってのはどういうことかと。たとえば上記資料の中では40点の人が50点、50点の人は61点となっていますが、100点の人は100点。おかしいですよね?

得点調整が行われるほどのテストって、そうとう難しい内容だったわけですよね? その難しいテストで100点取った受験生って、かなり優秀なヤツですよ。なのに、同じテストで40点しか取れなかった人が10点ボーナスみたいにもらえて、100点取った人は何ももらえない。

この二人の相対的な競争で考えれば、100点取ったのに10点ペナルティでマイナスされたのと同じですよ。ひどくないですか? むしろ100点取ったヤツには、この例で言えば120点あげてもいいくらいだと思うんです。 違います?

つまりセンター試験における得点調整というのは、「いちばん頑張った人が一番損をするシステム」なわけです。

・・・いや、この理屈も間違っているのはわかっているんです。

満点以上がありえないってのはテストの大原則ですからね。上に書いたような「120点の受験生」が出てくると、他の科目で100点を取った受験生に対しても「実は彼(彼女)は150点くらい取る実力がある」という話を始めなければいけませんから。

そういう効率とか実践面での問題は理解していても、「いちばん成果を上げた人間が相対的に損をする」というシステムがなにか許せないんですわ、私には。

システム自体の出来不出来を言いたいのではないのです。優秀な人たちが悩んで作って、悩んで運用しているんでしょうからね。そうではなく、このシステムをどこまで容認すると世界のバランスが取れるのかと。所得税の累進制も同じような話(いちばん稼いでいる人から取る)ですが、どこがバランスの取れる重心なんでしょう。

すくなくも受験制度に限って言うと、なにかこう、120点とか150点相当の学生には奨学金をあげるとか、飛び級させてやるみたいな仕組みを用意しないと、青色LEDの中村さん[google.com]じゃないですが、頭脳流出って話になっていくんじゃないかと心配になったりするわけです。


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