いまこそ広報関係者は「欽ちゃんメソッド」を研究するべきではないか?

胴体着陸 ボンバル社「問題は解決済み」<3/14 11:21> from 日テレニュース24

ボンバルディア(Bombardier)を「ボンバル」って略すのもどうかと思うけれど、何よりこの見出し。まずいですよ。悪意のある報道なのか、広報の対応が悪かったのか。

本文を読むと、

NNNの取材に対し、ボンバルディア航空機部門・ドゥシェーヌ広報部長は「これまでの問題はすでに解決済み。今回の事故は、全く新しい種類のトラブルです」と述べた。

となっていて、つまりは

「これまでに見つかった不具合には逐次対応しているが、今回は初めてのケースなので予測はできなかった」

と言いたかった発言なのに、この見出しをつけたとたん

「うちの機体は問題ない。うちの責任じゃない」

という発言に読めてしまう。

同じことをNHKはこんな風に書いています。

メーカー 事故原因調査に協力 from NHKニュース

今回の事故についてボンバルディア社の広報担当責任者は、NHKの電話インタビューに応じ、「今回のような日本での事故は初めてのことであり、本格的な調査に向けて今後、国土交通省航空局や全日空と協力していきたい」と述べ、事故の原因究明に向けて最大限取り組んでいく姿勢を強調しました。

実にまっとうな発言です。広報として正しい態度です。個人的には「大丈夫か日テレの報道デスク?」という印象ですが、いかが?


で、こういう不祥事への対応において、極楽とんぼの山本さんが不祥事を起こしたときの欽ちゃんの対応に参考にするべきところがあるんじゃないか、という話。

つまり処分とか、外部から何らかの判断がなされる前に、自分から「辞めます」と言ってしまうと。

あの時、欽ちゃんが球団を解散したからといって、なんの責任をとったことにもならず(というか欽ちゃんに責任があったとは思えない)、むしろほかの選手とか関係者には大迷惑なことでしかないのに、「辞める」という極端な行動に出るとなぜか周りから「辞めないでがんばってー」と応援されて逆に人気が出てしまうという。

ボンバル社[bombardier.com]さんも、原因究明を云々する前に「飛行機の製造中止します」と言ったらどうかと。

上場企業なんでいろいろ面倒だとは思いますが、「飛行機好きだけど・・、辞めることにしました。売り上げが消えてコストもかかるけど、お客さんの安全が第一だからさ」と言えば株価は下がっても行動自体は納得はしてもらえるのでは。

飛行機なんてほとんど受注生産でしょうから、事故が起こった以上、中止表明しようがしまいが売り上げは落ちるし、対顧客の対応コストは結局かかるので、「言うだけはタダ」なはずですが。逆に不安を抱えたまま製造を続けることのほうがコスト高になるんじゃないか。

で、この会社がステークホルダー各位にちゃんと信頼を得ているまっとうな企業であれば(ここが重要なんですが)、きっと周囲から「早く復活してくれ」「ボンバルディアをつぶすな」という声があがってくるはず。

不二家も一切言い訳をせず「ペコちゃんには悪いけど・・・生洋菓子辞めます」と言えば「ペコちゃんがかわいそう」「フランチャイズ店をつぶすな」という声が上がったと思うし、そうならなくても不採算部門の切り離しができてよかったかも。

このメソッドが成立する条件はだいたいこんな感じだと思う。

  1. 前提として、それなりのブランド(支持)があること
  2. 不祥事に対し何らかの処分(判決とか命令とか)が下る前にインパクトのある反応をすること
  3. 「○○は好きだけど・・辞めます」と、不祥事そのものではなく関連の商品(ブランド・会社・キャラクターなど)を辞める、と言うこと
  4. そのカテゴリから撤退しても関係者以外に実害がないこと
  5. 報道のされ方によって風評被害を受けるリスクが高いこと
    1. さてそこで、松岡農林水産大臣の光熱水費問題[google.co.jp]ですよ。ブランドがある人だとも思えないので難しいんですが、理屈を云々言う前に欽ちゃんメソッドを適用して、事務所の例の浄水器の水の飲みすぎで体を壊して入院して、辞意を表明するとか。「○○の水、好きだから・・・辞めます」と言えば「水好きなのはいいけど、ほどほどにしなよ」「別に辞めることはないんじゃない?」みたいな声も出てくるのでは。で、事務所の担当者に退職してもらって一件落着、とか。

      柳沢厚生労働大臣の「産む機械」発言も・・・難しいな。とりあえず腹を切るってのはどう?「武士に二言はないのにあのような発言を」と、とりあえず腹に短いナイフをかすかに刺して即入院。病床からのコメントで「子供を産む女性の痛みに比べればこんなもの・・・」と言えばある程度許してもらえるのでは。


      いや、あんまり政治家の具体例をマジメに読まれても困るんですが(行為自体の善悪はまた別の話)、報道に話を戻すと、すべてに100%を求めるというか、「金を払った以上リスクゼロで当然」という考え方が蔓延する中、広報する側も「まっとうな対応」で充分と思わず、「なんかあったら(金は払わないけど)腹を切ります」とまで言えないといけないんじゃないか。そして、実際に何かが起きても生き残っていけるように、普段のブランド作りをちゃんとやっておかなければいけないだろうと。

      あと、Googleみたいにあらゆるサービスに「(広告モデルで)タダですから」「ベータですから」と逃げ道を作っておくのもいい考え。ある意味、不祥事広報が大変になったのはGoogle的サービスのせいなのかもしれない。

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