立花隆『「知」のソフトウェア』と『アイデアの作り方』

フォトリーディングのことを周りにしゃべったりすると、必ず「で、速読できるようになった?」と聞かれるわけです。で、そのたびに「いや、速読術ではないので、世間的な『速読』はできないですけど」と答えて、ちょっとがっかりされたり。

とはいえ、結果的に、同じ時間で読めた本の数は3倍くらいにはなっていますね。読むスピードが3倍になったというより、読めた本が3倍になるという感じ。わかりますかね?

フォトリーディングの方法論の特徴として、「無意識の力を使う(信頼する)」というのがあります。フォトリーディングする前、した後に「これから読む(いま読んだ)内容はすべて自分の無意識に写し取られて、自分はいつでもそれを使うことができる」と言い聞かせて(アファメーション)、次にその本を開くまでに少し時間をおく(30分以上)わけです。

そうすると、必要があったときにその内容が意識に上ってきて、勝手に答えが出てくる、みたいな話です。読書に限らずそういう経験ってみんなありますよね。アイデアが生まれる瞬間というか。

で、今回ご紹介するのがジェームズ・W・ヤングの『アイデアの作り方』。戦前のアメリカの広告の偉い人が文字通りアイデアの作り方について書いた本です。フォトリーディングするまでもないくらい薄くて、後半の竹内均さんの解説の方がよっぽど長かったりします。要するに言いたいことはこんなことです。

  1. 資料を集める(当面の課題だけではなく、世間一般の情報に詳しくなる)
  2. 整理・分類する(アイデアは結局既存のアイデアの組み合わせ)
  3. 無意識に任せる
  4. アイデアが生まれる
  5. 世間に伝わる形に加工する

無意識に任せておくと、自然と無意識が問題を考え続け、答えを出してくれる・・・というところがこの本のキモです。

一方、日本の知のえらい人である立花隆さんが情報のインプット・アウトプットのハウツーについて書いた『「知」のソフトウェア』にも似たような記述が。

第8章の「アウトプットと無意識の効用」から引用します。

・・・頭の中の発酵過程、頭の中で考えがまとまっていく過程そのものについては何も方法論がない。酒造りにおいては、桶に材料と酵母を入れたら、あとは酵母にがんばってもらって発酵が起こるのを待つよりほかにない。それと同じように、考える素材となるものをあれこれ頭の中に詰め込んだら、あとは頭の中で何か考えが熟して、人に伝えるべき何事かが出てくるのを待つしかない。

・・・人間の全体験は、必ずその人の無意識層に刻印を残し記憶されていく。それはふだんは自分の頭の中に記憶として残されているのだということすら意識されていない・・・(中略)・・・しかし、それにもかかわらず、その記憶が必要なときに、それは忽然と意識の中によみがえってくるのである。

なので、とにかく良質のインプットを大量に行え、というのが立花氏の方法です。ついでに言うと、文章力もインプットが大切で、文章読本的な本をいくら読んでも無駄、なんだそうです。

1984年の著作なので、ワープロやコンピュータ、データベースの利用など、ちょっと古くなりすぎた部分もありますが、そこは飛ばしても読む価値のある本だと思います。


クリック募金でちょっといいこと。(クリック募金とは?)

【クリック募金】盲導犬の育成を支援しよう(価格.com)

【クリック募金】「子供の森」計画の支援(日本通運)

【クリック募金】焼き畑から循環型農業へ(コスモ石油)

こんなネタもどうぞ:


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です