メッシュ型無線LANで人口カバー80%くらいにできないだろうか

メッシュ型(マルチホップ型)無線LANが気になっているのです。台北とか、サンフランシスコの「街ごとホットスポット」を実現しているのがこの技術で、日本でも規模は小さいですが岩国基地とか、白川郷でやってます。

普通、無線LANのアンテナ(アクセスポイント)には、それぞれネット回線を引き込んでいるわけです。そこをこの「メッシュ型」の無線LANでは、アンテナ同士が通信することで、インフラの構築、運用のコストを思いっきり下げて、なおかつ面的にホットスポットを広げることができるわけです。

詳しいところは@ITの【トレンド解説】[atmarkit.co.jp]や日経BPの記事[nikkeibp.co.jp]で図を参照してください。

まあ要するに

  • 少ない回線で広範囲をカバーできる
  • どこか1カ所が壊れてもほかのアンテナが働いてくれる(耐障害性が高い)

というものです。そのかわり1アクセスポイントあたりの通信速度はある程度犠牲になります。

世間的には「街ごと無線LAN」という前者の特徴の方に注目が集まりがちなんですが、わたしが気になるのは耐障害性(fault-tolerance)のほうなのです。

メッシュ型ネットワークには「壊れてもすぐ直さなくていい」という特徴があるわけです。通信が切れるというのは大変な話なんですが、このメッシュ型ネットワークでは、切れた瞬間「ある程度」はまわりのアンテナがフォローしてくれるんです(スループットは落ちますし、多少電波の穴はできますけど)。

と、なると、アンテナの補修作業というのは、たとえば月に1回とか、ある程度計画的に行えるわけです。緊急の事態に備えて人を張り付けておかなくて済みますから、保守コストは普通の無線LANに較べたら下がるはず、です。

ここまで書いて思い出すのは、Googleのデータセンターのこと。Googleのデータセンターも、高いサーバーを使う代わりに、安いIAサーバーを大量に置いて、「ある1台が壊れても全体に影響せず、あとで取り替えればいい」という非常に高い耐障害性を持っているわけです。検索の仕組み作りももちろんですが、Googleの凄さは、PCサーバで「壊れないスーパーコンピュータ」(ユーザーから見て)を作ってしまったことにあると思います。

Googleの話は@ITの翻訳記事[atmarkit.co.jp]かInternet Watchでの技術部門ディレクターの話[watch.impress.co.jp]、CNET[cnet.com]あたりを読んで下さい。

さてさて、そこで考えるのは、この無線LANネットワークを、広告収入だけで運営できないか、ということ。Googleはそれをやろうとしている雰囲気があるし、昨年ライブドアが無線LAN事業を始めましたが、月500円と言わず、マルチホップにすればタダになるんじゃないの?ということも考えたりするのです。

先月、KDDIの副社長の人が講演の中で、「日本の広告市場規模は6兆円、通信のマーケットだけでも15兆円。Googleのような広告モデルには限界がある(=通信コストを広告でまかなうことはできない)」とおっしゃってたんです。まあその言い分もわからないではないですが、これをプロパガンダ(ポジショントーク)ではなく本気で言っているとしたら、どうにも「ネットのこちら側」の人の意見のような気がするのです。KDDIは広告ではなく、固定通信や携帯電話網で稼いでる会社ですから、「広告でタダ、ではなくちゃんと通信料を払ってくれ。できれば従量制で」と言いたいのはよくわかるんですが。

そもそも、「通信に15兆円」という前提条件が、いろんな過去の遺産を引きずった非効率なネットワーク設計や、「ユニバーサルサービス」の名の下の非効率を認めた上での数字じゃないかと。もし、「都市部だけで、たまに使えない時もあるけど、調子が良ければ10Mbpsくらいの無線通信ができる。広告は出るけどタダ」というネットワークが1.5兆円(この数字は根拠ないですけど)で作れるなら、みんなそれを使うんじゃないか。技術は進歩します。電波の利用効率も上がるでしょう。屋外から屋内に吹きこむ無線LANがあれば固定回線いらないじゃないですか。それが想像できないKDDIではないでしょうに(まあ、KDDIくらいの会社であればその可能性は静かに検討してるんじゃないかと思うんですが)。

一方で、「広告市場規模は6兆円」という前提だってこの先どうなるかわからない。Googleアドセンスやアフィリエイト広告の影響で、いままで広告市場に入ってこなかった中小企業や個人がパイ自体を増やすんじゃないかとは考えないのだろうか。椎名誠さんの『アド・バード』[amazon.co.jp]のような、「万人に対する広告戦争状態」に、すでになっていると言えなくもないでしょう? 月に通信費関連で2万円くらい使っている人はいるでしょうから、そういう感覚の人が、自分のブログを読んでもらうために2000円くらいは払ってもおかしくない。そういう人が100人に一人、120万人くらいいたら(根拠はないですが)、年間300億円? 2000円の現金として出すのに抵抗があるなら、Googleポイント(当然各種マイレージと交換可能)みたいので払うならどうです? もうちょっと広げて、結婚相談サービスとか出会い系のサービスに人が払っている金額もこの「万人に対する広告」に入るようになったら、さらに市場は拡大するんじゃないか。

都市部限定の無線のfault-tolerantなネットワークがいくらくらいで成り立つか、だれか試算してはくれまいか。事業可能性があっても既存の通信業者には絶対できない話なので、挑戦しがいはあるような気がするんですが。1000000分の1くらい出資しますよ(^_^;)。


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